弊社所有の土地に過去除草剤を撒きましたが、こちらで果樹など育てられるのだろうか?と疑問に感じたため調べてみました。
23区内(特に城北)でしたら再建築不可の更地も買取検討致しますのでお声かけください。
1. グリホサート残留が果樹に与える可能性のある影響
グリホサート系除草剤は通常、土壌中では微生物により比較的速やかに分解されます 。そのため、半年前に散布されたグリホサートの残留成分が直接これら果樹(レモン、キウイ、マンゴー)に強い悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられます。実際、メーカー資料でも「散布後1時間以内に土壌粒子に吸着され微生物のエサとなり、約3~21日で半減、その後消失する」とされており、半年も経過すれば残留効果は消失して問題ないとされています 。
とはいえ、グリホサートが植物体内に取り込まれた場合には注意が必要です。グリホサートは植物の**必須アミノ酸合成経路(シキミ酸経路)を阻害し、間接的に金属微量要素をキレート(結合)**して植物体内で利用しづらくする作用があります 。その結果、慢性的なグリホサート暴露を受けた樹木では以下のような影響が報告されています :
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- 生長抑制・黄化:葉のクロロシス(黄化)や新梢の生育不良が起こる 。グリホサートダメージの症状は徐々に現れ、散布数週間後に葉が黄変・落葉し始め、新しく展開する葉が小型化・針状化することもあります 。
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- 病害抵抗力の低下:樹勢が弱まることで**胴枯れ病(幹部の癌腫やひび割れ)**などの病気が発生しやすくなるとの指摘があります 。実際、果樹園でグリホサートを頻繁に使用すると、幹に亀裂が入り易くなったりカンキツ類で癌腫が増える例も報告されています 。
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- 栄養素の欠乏:グリホサートのキレート作用により土壌中のマンガンや鉄など栄養素が植物に吸収されにくくなり、樹勢が衰える可能性があります 。その結果、果実の品質低下や収量減少につながる恐れがあります。
ポイント: 半年も経過していれば通常は上記のような残留影響は起こらないと考えられます。
しかし、過去に頻繁に除草剤が使われ土壌中で蓄積効果があった場合や、除草剤散布直後に果樹が植えられた場合には、初期成育がやや抑制されたり葉が黄化するなどの一時的影響が現れる可能性は否定できません。
もっとも、グリホサート自体は土壌中で不活性化するため、非散布部位(根からの吸収など)から作物が影響を受けるリスクは極めて低く、「葉や緑色部に付着しない限り問題ない」とも言われます 。
2. 半年経過後での作付け可否(植栽可能時期)
結論から言えば、グリホサート散布から半年後であれば一般的には作付け(果樹の植え付け)は可能と考えられます。前述の通りグリホサートは比較的速やかに分解・消失するためです。
【農薬メーカーの説明】によれば、散布後数週間で土壌中のグリホサートは半減期を迎え、最終的には自然物に分解されて土壌に残留・蓄積しないとされています 。また、農学的な試験でもグリホサートの土壌中半減期は条件次第で2~3日と短い場合もあり、遅くとも60日程度で半減することが報告されています 。温暖地で微生物活性が高い土壌環境であれば、半年も経てばほぼ完全に分解されているでしょう。
実際、家庭菜園などでも「除草剤散布後、半年以上経てば作物を植えて問題ない」との見解が一般的です 。Yahoo知恵袋の相談例でも、「ラウンドアップ(グリホサート剤)を半年前に撒いた休耕畑で夏野菜を栽培しても大丈夫か?」という質問に対し、「半年も経過していれば残留効果は消失しており問題ありません」との回答がベストアンサーとして選ばれています 。
注意点: 作付け可能とはいえ、心配であれば植え付け前に軽い耕起や客土を行い、土壌をよくかき混ぜておくと安心です。また、除草剤散布後に雑草が再生してきているかを確認するのも指標になります。雑草が再び生えているようなら、除草剤の効果が切れて土壌が通常の状態に戻った証拠と見なせます(実際、そのように解釈してよいか質問する声もあります) 。
総じて、半年経過後であれば特別な懸念はなく、通常の植樹スケジュールで果樹を植えて問題ないでしょう。
3. レモン・キウイ・マンゴー各果樹のグリホサート感受性と注意点
グリホサート系除草剤は非選択性で緑色植物なら大抵枯らしてしまう強力な除草剤です。そのため、レモン・キウイ・マンゴーいずれの果樹も、葉や新梢などの緑色部位にグリホサートが付着すると枯死または深刻なダメージを受ける点では共通しています 。基本的な注意点はどの果樹も同様で、「散布液が絶対に樹体(緑の葉や若枝)にかからないようにする」ことです 。ただし、樹種ごとの特性や栽培方法により、若干の注意点や感受性の違いがあるので以下に整理します。
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- レモン(柑橘類)の場合: 柑橘類の園地では雑草管理にグリホサート剤を使用する例も多く、適切に使えば柑橘園で比較的安全に利用可能とされています。ただし、幼木や低い位置の枝葉への飛散には厳重な注意が必要です。
柑橘類は幹が木化していれば多少薬液がかかっても影響は出にくいですが、新芽や葉にかかるとその部分が褐変して落葉し、さらには一部の葉にかかっただけでも樹全体に移行してダメージが出ることがあります 。
実際、グリホサート暴露時の柑橘の症状として、葉の黄化・落葉が数週間かけて進行し、新葉が細長く奇形化することが報告されています 。さらに、果実に薬液が付着すると果皮が傷み、ひどい場合は落果してしまうこともあります 。
レモンなど柑橘は一般に接ぎ木苗で栽培されますが、台木からのヒコバエ(萌芽)に除草剤がかかると台木経由で樹全体が枯死するリスクもあるため、ヒコバエ処理時も除草剤は使わないようにします 。柑橘園向けの指導でも「薬液が栽培樹の枝葉にかからないよう遵守」と明記されており 、特に樹冠下への散布は無風の穏やかな日に慎重に行うべきです。
- レモン(柑橘類)の場合: 柑橘類の園地では雑草管理にグリホサート剤を使用する例も多く、適切に使えば柑橘園で比較的安全に利用可能とされています。ただし、幼木や低い位置の枝葉への飛散には厳重な注意が必要です。
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- キウイフルーツの場合: キウイも広葉樹(ツル性植物)ですので、葉や緑枝にグリホサートが付けば同様に枯れてしまいます。
他の果樹同様、葉面経由で吸収されたグリホサートは根まで移行し、株元だけでなく樹全体を弱らせる作用があるため注意が必要です 。キウイは冬季に落葉休眠するため、休眠期であれば葉がない状態で慎重に散布することでリスクを低減できます。
ただし枝や幹の表面が緑色の部分(未成熟な新梢など)は休眠期でも薬剤を吸収し得るため、やはりかからないに越したことはありません。キウイは一般に浅根性で地表近くに根が広がる傾向があります(※注:イチジクほど極端ではないが、根は比較的浅い層に張ります)。そのため、土壌中に残ったグリホサートが根に触れると吸収されやすい可能性も若干あります。ただしグリホサートは土壌で不活性化するので通常は根からの吸収障害は起こりにくく、浅根性ゆえにむしろ接触型のグルホシネート(バスタ)剤などの方が万一かかった場合の被害が局所で済むため安全との指摘もあります 。キウイ栽培では園地の下草を生やして管理するケースもあり、除草剤を使わない方針の農家も多いようです。
新梢が伸びる春先は特に風で枝が揺れやすく、誤散布しやすい時期ですから、可能な限り防草シートやマルチング等で除草剤に頼らない管理を行うのが安全策と言えます。
- キウイフルーツの場合: キウイも広葉樹(ツル性植物)ですので、葉や緑枝にグリホサートが付けば同様に枯れてしまいます。
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- マンゴーの場合: マンゴーは熱帯性の常緑果樹で、日本国内では商業的にも除草剤を多用する露地栽培の事例が少ないため、他の果樹に比べて使用ノウハウがあまり蓄積されていません。ただ、マンゴーも広葉樹である以上、葉や若枝へのグリホサート付着は深刻な薬害をもたらす点は同じです。
特にマンゴーは若木のうちは耐寒性・耐ストレス性が低く、農薬によるダメージにも弱い傾向があるため、周辺の雑草管理でもグリホサートは極力使わず、刈り取りやマルチで対処する方が無難でしょう。【海外の事例】では、マンゴー園でラウンドアップを根元周りに年数回使ったところ、生育不良や樹勢低下が見られたという報告もあり、リンゴなど他果樹ほどには耐用されていません 。
マンゴーは気根や表面根も多い樹種ですので、土壌表層にグリホサートが残っていると根から取り込むリスクもゼロではありません。この点でも、露地のマンゴー樹周辺では除草剤に頼らず敷草・マルチングやこまめな除草が推奨されます 。なお成木のマンゴーは樹高が高く葉も茂るため、一度枝葉にかからないよう注意して散布できれば、その後雨などで薬剤が滴下してくる心配は少ないでしょう。
ただ繰り返しになりますが、総じて3果樹ともグリホサート感受性に大差はなく、「かけてはいけないものは絶対かけない」が鉄則です 。
- マンゴーの場合: マンゴーは熱帯性の常緑果樹で、日本国内では商業的にも除草剤を多用する露地栽培の事例が少ないため、他の果樹に比べて使用ノウハウがあまり蓄積されていません。ただ、マンゴーも広葉樹である以上、葉や若枝へのグリホサート付着は深刻な薬害をもたらす点は同じです。
まとめ: 果樹ごとの感受性に大きな差異はありませんが、栽培上の注意として**「散布は無風の穏やかな日を選ぶ」「低圧で霧状にならないよう根元に定向噴霧する」「幼木や萌芽には絶対かけない」**などが共通のポイントです 。
万一、ごく少量でも葉にかかってしまった場合は速やかに水で洗い流すか、その葉や枝ごと取り除く方が安全です。また、どうしても心配な場合は、グリホサート系ではなく万一樹にかかっても影響の少ないタイプの除草剤(例:グルホシネート=商品名バスタなど)を代替使用する方法もあります 。
最も望ましいのは、薬剤に頼らず敷き藁やウッドチップでマルチングして雑草抑制することで、土壌水分保持や有機物補給のメリットも得られるため一石二鳥です 。
4. 土壌改良の必要性とおすすめの改良方法
半年経過後に果樹を植える際、土壌中のグリホサート残留そのものは深刻な問題にならないと考えられますが、健全な果樹生育のためには土壌改良を検討する価値があります。特に以下の観点で土壌状態を整備するとよいでしょう。
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- (a) 有機物の補給と地力回復: 除草剤を使用した土壌では、土中微生物相への影響や有機物循環の一時的な滞りが懸念されます。実際、行政の指導でも「地力低下を防ぐため、除草剤使用は年間1~2回にとどめ、堆肥などを補給して土づくりに取り組む」ことが推奨されています 。
そこで、堆肥・腐葉土・完熟たい肥など有機質資材を十分に施し、土壌中の有機物量を増やすことが大切です。堆肥投入により土壌微生物が活性化し、もし僅かに残存している除草剤成分があっても速やかに分解が進みます。また有機物は団粒構造を改善し土壌の保水・排水バランスを向上させ、果樹の根張りを助けます。施用量の目安は植え穴1か所あたり完熟堆肥を数kg程度混和するか、園地全体に2~3kg/㎡をすき込むイメージです。
- (a) 有機物の補給と地力回復: 除草剤を使用した土壌では、土中微生物相への影響や有機物循環の一時的な滞りが懸念されます。実際、行政の指導でも「地力低下を防ぐため、除草剤使用は年間1~2回にとどめ、堆肥などを補給して土づくりに取り組む」ことが推奨されています 。
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- (b) 土壌pHと肥沃度の調整: グリホサートは土壌pHの極端な変化を引き起こすものではありませんが、長年雑草しか育っていなかった土地では養分が不足している可能性があります。植栽前に土壌pHを測定し、必要に応じて苦土石灰などでpHを6前後の弱酸性~中性に整えましょう。特に柑橘類(レモン)は微量要素のマンガンや亜鉛欠乏に敏感なので、中性付近の土壌が望ましいです。また元肥として**腐植質とともに緩効性の肥料(有機由来の肥料など)**を入れておくと初期成育がスムーズになります。グリホサート散布により一時的に窒素が微生物によってロックされている可能性もあるため、堆肥とともに窒素源を少量補うと効果的です。
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- (c) 土壌物理性の改善: ご質問の土地は温暖で海に近いとのことですから、砂質土壌である可能性や塩分の影響も考えられます(後述⑤参照)。
砂質であれば保水性が低いので、これも有機物施用が改善策となります。また粘土質が強い場合は川砂やパーライトを混ぜて通気排水性を高めると良いでしょう。植え穴を掘った際にゴロ土(小石)を敷いたり、客土として良質な黒土を入れるのも有効です。重要なのは、果樹の根が酸素不足や過湿にならず、かつ乾燥しすぎない土壌環境を用意することです。
- (c) 土壌物理性の改善: ご質問の土地は温暖で海に近いとのことですから、砂質土壌である可能性や塩分の影響も考えられます(後述⑤参照)。
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- (d) 残留塩分の洗浄: グリホサート製剤にはイソプロピルアミン塩などが含まれる場合がありますが、通常はそれらも分解・浸透して土壌に問題を残しません。ただ海風の影響で土壌表面に塩分が蓄積している恐れがある場合、**植え付け前によく灌水して塩分を洗い流す(浸透させる)**処置をとると安心です。沖積低地で地下水位が高い土地では土中塩分濃度が上がりやすいため、適度な深耕と客土で根圏の塩分濃度を下げる工夫も考えられます。
以上の土壌改良は必須ではありませんが、実施すれば果樹の活着と健全生育に寄与し、結果的に収量・品質向上につながる投資と言えます。特に堆肥等の有機物投入は除草剤の長期使用による土壌微生物への悪影響を緩和し 、土壌中に滞留し得る除草剤成分の速やかな無毒化にも役立つため推奨されます 。
5. 海風や塩害リスクへの耐性と地域条件に即した栽培アドバイス
ご提示の土地は海に近い温暖地とのことですので、塩害(潮風による塩分ストレス)や強風による物理的被害が懸念されます。レモン・キウイ・マンゴーの各果樹の塩分耐性や海風への強さについて比較し、対策をまとめます。
まず、それぞれの塩害耐性の概略は以下の表の通りです。
塩害メカニズム: 海風による塩害は、海からの飛沫塩(塩分を含んだ微細な水滴)が葉に付着し、水分の蒸発後に高濃度の塩類が葉面に残留することで生じます。これにより**葉組織が脱水・壊死して葉焼け(葉先が茶色く枯れる)**を引き起こします 。さらに土壌中に塩分が蓄積すると浸透圧ストレスで根が水を吸えなくなり、生長阻害や黄化を招きます 。
上述の表を踏まえ、地域条件に即した栽培アドバイスを以下に整理します。
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- 防風・防潮対策の徹底: まず何より、海風そのものを和らげる環境作りが重要です。
可能であれば敷地の海風が当たる側に防風林や高めの生垣を配置し、直接の潮風を低減してください。防風ネット(グリーンネットなど)を張るのも効果的です。特にキウイは風で新芽が折れる被害も報告されており 、物理的防風が欠かせません。レモンやマンゴーも台風時の強風で枝折れや塩焼けが起こり得ますので、春の強風期や台風シーズンには防風資材で樹木を囲うことも検討してください。
- 防風・防潮対策の徹底: まず何より、海風そのものを和らげる環境作りが重要です。
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- 塩分の葉面洗浄: 塩害リスクが高い地域では、**塩風が吹いた翌日に樹木に真水を散布(葉面洗浄)**すると効果的です。
葉に付着した塩を洗い流せば、気孔閉塞や組織壊死を軽減できます。特に柑橘類は塩分で葉が落ちやすいので、早めの洗浄が葉を守ります。マンゴーも塩が付いたままだと葉先から黒変しますので、夕立後など自然の雨が期待できないときはスプリンクラー等で淡水シャワーを当ててください。
- 塩分の葉面洗浄: 塩害リスクが高い地域では、**塩風が吹いた翌日に樹木に真水を散布(葉面洗浄)**すると効果的です。
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- 土壌塩分管理: 土壌中の塩類集積を防ぐことも重要です。
沿岸部では地下水や井戸水に塩分が混じる場合があるため、灌水水の塩分濃度に注意します。目安として、灌水水のTDS(全溶解塩類)が1500ppm未満であればほぼ問題ありませんが、2000ppmを超えると徐々に塩害が現れる可能性があります 。必要に応じてECメーターで井戸水の塩分をモニターし、塩分が高い場合は雨水の利用や混和希釈など対策を考えます。
また、**定期的に大量の潅水を行い土壌中の塩を洗い流す(ルーチング)**のも有効です 。
排水性の良い土壌なら雨季の降雨が自然に洗浄してくれますが、粘土質で滞留しやすい場合は意識的に散水して塩を押し出します。
- 土壌塩分管理: 土壌中の塩類集積を防ぐことも重要です。
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- 品種と台木の選択: レモンなど柑橘では、耐塩性の比較的高い台木(例えばカラタチやサワーオレンジ系統)に接いだ苗木を選ぶと良いです 。これら台木は塩濃度の高い環境下でも根が吸い上げる塩分をある程度排除・隔離する能力があります。
一方、キウイフルーツは一般に接ぎ木ではなく実生や挿し木苗なので台木効果は望めません。そのため塩に強い品種というより塩風を避ける栽培が必須です。マンゴーも台木利用は一般的でない(マンゴー自体が比較的実生でも発芽する)ため、植える際はできるだけ海から離れた区画 or 防風設備が整った環境に限定した方が賢明です。
- 品種と台木の選択: レモンなど柑橘では、耐塩性の比較的高い台木(例えばカラタチやサワーオレンジ系統)に接いだ苗木を選ぶと良いです 。これら台木は塩濃度の高い環境下でも根が吸い上げる塩分をある程度排除・隔離する能力があります。
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- その他環境調整: 沿岸部は霧や強い日差しもあります。塩害だけでなく、夏場の直射日光による葉焼けにも注意しましょう。
特にマンゴーは35℃を超える高温や強光で果実日焼けを起こし品質低下します 。
その対策として、防風ネットを兼ねた遮光ネットを夏季に張ることもあります。また冬季に関しては後述のようにマンゴーは低温に極めて弱いので、防風と同時に防寒(霜よけ)対策も考慮が必要です。
- その他環境調整: 沿岸部は霧や強い日差しもあります。塩害だけでなく、夏場の直射日光による葉焼けにも注意しましょう。
6. 必要に応じたビニールハウス設置の効果とコスト対効果
最後に、ビニールハウス(温室)を設置する場合のメリットやデメリット、コスト対効果について解説します。
● ビニールハウス設置の効果(メリット):
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- 気候制御による生育促進: ハウス内では温度・湿度を管理しやすく、熱帯性のマンゴーにとっては冬場の保温が可能になります。マンゴーは10℃以下になる環境では樹体が弱り、霜に当たると致命的です 。
沖縄県などを除き日本本土で露地越冬は難しいため、関東以北でマンゴー栽培をするなら必然的に加温ハウス栽培となります 。
ハウスを使えば冬季でも最低気温を10℃以上に維持でき、マンゴーの越冬・開花結実が現実的になります。
実際、「マンゴーの露地栽培の北限は沖縄だが、本土でも加温施設を使えば収穫可能」とされており 、関東でもハウス内でマンゴーを育て3年目で収穫・販売に成功した事例があります 。
- 気候制御による生育促進: ハウス内では温度・湿度を管理しやすく、熱帯性のマンゴーにとっては冬場の保温が可能になります。マンゴーは10℃以下になる環境では樹体が弱り、霜に当たると致命的です 。
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- 塩害・風害の回避: ハウスは物理的なシェルターになるため、海風や飛来塩を遮断できます。
第5項で述べた塩害リスクも、ハウス内であれば大幅に軽減されます。また台風や強風による枝折れ、果実の落下などもビニールハウスが防護壁となって守ってくれます(もちろん大型台風ではハウス自体の損壊リスクもありますが、小規模な風なら緩衝効果が大きいです)。レモンやキウイは基本露地栽培ですが、マンゴーに関してはハウスがあることで塩害・寒害を同時に防げ、非常に有利になります。
- 塩害・風害の回避: ハウスは物理的なシェルターになるため、海風や飛来塩を遮断できます。
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- 生育環境の最適化: ハウス内では灌水もコントロールしやすく、雨による過湿や病害リスクを抑えられます。例えばマンゴー栽培ではハウス内に防虫ネット(赤色防虫ネット等)を設置してアザミウマ類などの害虫侵入を減らす取り組みもなされています 。また、マンゴーは開花期に人工授粉やホルモン処理が行いやすくなる利点、果実成熟期に果実をネットで包んで樹上完熟させる管理(太陽のタマゴのような高品質果実生産)もしやすくなります 。さらに、ハウス栽培ならではの収穫時期の調整も可能です。
例えば加温開始時期を調節して収穫を早めたり遅らせたりでき、市場で高値となる端境期出荷を狙う戦略も取れます 。
- 生育環境の最適化: ハウス内では灌水もコントロールしやすく、雨による過湿や病害リスクを抑えられます。例えばマンゴー栽培ではハウス内に防虫ネット(赤色防虫ネット等)を設置してアザミウマ類などの害虫侵入を減らす取り組みもなされています 。また、マンゴーは開花期に人工授粉やホルモン処理が行いやすくなる利点、果実成熟期に果実をネットで包んで樹上完熟させる管理(太陽のタマゴのような高品質果実生産)もしやすくなります 。さらに、ハウス栽培ならではの収穫時期の調整も可能です。
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- 品質向上: ハウス内は雨が当たらず日射量も管理できるため、果実の外観品質が向上します。実際、沿岸部で露地栽培すると塩風で果皮が傷んだり煤煙やほこりで汚れたりしますが、ハウスなら綺麗な外観の果実が得られやすいです。マンゴーでは「塩風に当たると表面がきれいになる」という逆説的報告もありますが 、基本的にはハウス内できれいに育てた方が市場価値の高い見栄えになります。
● ビニールハウス設置のデメリットとコスト対効果:
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- 初期投資コスト: 最大のハードルは設置コストの高さです。小規模な簡易ビニールハウスでも数十万円、大型で高度な設備(暖房機・二重被膜など)を備えると数百万円~数千万円単位の投資になります。例えば関東でマンゴー栽培を成功させた埼玉県の事例では、15a(1500㎡)規模のマンゴー専用ハウスを建設しています 。軒高を高くし空気循環を良くする設計や、暖房機・循環扇・遮光カーテン等の設備を備えた本格的なもので、かなり大掛かりです。当然、それ相応の設備投資に見合う事業計画が必要となり 、個人の趣味レベルで導入するには負担が大きいでしょう。マンゴー栽培で利益を上げるには高級フルーツとして販売するビジネスモデルが前提となり、単に家庭で数本育てるだけでは投資回収は難しいです 。
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- ランニングコスト: ハウス栽培は維持管理費もかかります。
冬場の加温コスト(燃料代・電気代)は地域の気候によりますが、関東でマンゴーを加温するなら11月~4月頃まで夜間暖房が必要で、かなりの燃料を消費します。また夏場は換気や遮光をしないとハウス内温度が上がりすぎてしまいます 。場合によっては冷房設備やミスト散布で冷却することも検討しなければなりません(マンゴーは高温多湿よりも高温乾燥を好むため、通風確保が重要です)。
このように年間を通じて環境制御するコストと手間が発生します。
- ランニングコスト: ハウス栽培は維持管理費もかかります。
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- 果樹ごとの必要性の差: レモンやキウイについては、関東の気候であれば基本的に露地栽培で問題ありません。レモンは多少の寒さには耐え(品種や木の大きさによりますが霜程度なら枯死しない)、キウイに至っては冬の低温がむしろ必要な果樹です 。
したがって、この2種のためにハウスを建てて加温する必要性は低いです。
マンゴーだけが温室を必要とする果樹と言えます。
もしマンゴーを諦め、レモンとキウイだけ栽培するのであれば、防風対策さえしておけばハウスなしで十分でしょう。
その意味で、ハウス設置の是非はマンゴー栽培をどれだけ本格的にやりたいか次第です。
- 果樹ごとの必要性の差: レモンやキウイについては、関東の気候であれば基本的に露地栽培で問題ありません。レモンは多少の寒さには耐え(品種や木の大きさによりますが霜程度なら枯死しない)、キウイに至っては冬の低温がむしろ必要な果樹です 。
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- 小規模ハウスの活用: コスト対効果を考えると、商売ではなく趣味で数本マンゴーを育てたい場合は、大型ハウスではなく小型の簡易温室やフレームで越冬させる方法もあります。例えばマンゴーの木1本を囲えるサイズの鉄パイプハウスをDIYで組み立て、寒波時だけ内張り+灯油ヒーターで保温する、といった簡易な措置でも越冬は可能です。
これなら費用は数万円~十数万円程度で済みます。
ただし収穫量や品質は大型ハウスほど期待できず、強風で飛ばされるリスクもあるため自己責任にはなります。マンゴーは鉢植えで育てて冬は室内に取り込む方法もありますが、果樹として大きく育てて露地で果実をならすには限界がありますので、小型ハウスでも用意した方が良いでしょう。
- 小規模ハウスの活用: コスト対効果を考えると、商売ではなく趣味で数本マンゴーを育てたい場合は、大型ハウスではなく小型の簡易温室やフレームで越冬させる方法もあります。例えばマンゴーの木1本を囲えるサイズの鉄パイプハウスをDIYで組み立て、寒波時だけ内張り+灯油ヒーターで保温する、といった簡易な措置でも越冬は可能です。
● コストに見合うか?(まとめ):
ビニールハウスによるマンゴー栽培は、高級フルーツとして販売するビジネスであれば高い収益が見込めるため投資に見合う可能性があります。実際、宮崎県などではハウス栽培マンゴーがブランド化し、高価な果実を安定生産しています 。
一方、個人レベルで楽しむ範囲では、ハウスなしで育てられる果樹(レモン・キウイ)を露地で育成し、マンゴーは少数本を工夫して防寒する程度に留めるのがコスト面では現実的です。ハウスを建てれば確かに塩害・寒害はほぼ克服できますが、その投資に見合うだけのリターン(果実収量・品質向上)を得るには相当数の樹を育てる必要があります。趣味栽培なら、まず露地でチャレンジしてみて、どうしてもマンゴーが越冬できない・実がつかないといった場合に、小規模ハウスを導入する段階的アプローチがおすすめです。
以上、各項目について調査結果をまとめました。
今回の土地条件では、半年経過したグリホサートの影響は心配いりません。
【適切な土壌改良】と【塩害対策(防風)】を講じた上でレモンとキウイは露地栽培し、マンゴーは防寒対策を徹底することで、とりあえず栽培は可能と考えられます。将来的にマンゴーの収量アップや品質向上を狙うのであれば、ビニールハウス栽培への移行も視野に入れてみてください。
参照資料:
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- グリホサートの土壌残留と分解速度(農薬Q&A)
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- 除草剤散布後の作付けに関する経験則(知恵袋QA)
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- グリホサートの樹木への影響・症状(海外果樹園レポート)
-
- 除草剤使用時の果樹園での注意事項(福井県指針)
-
- 柑橘類でのグリホサート被害症状(米国Citrus Industry誌)
-
- 園芸家の除草剤使用アドバイス(知恵袋QA)
-
- 土壌管理と代替除草法に関する意見(Tropical Fruit Forum)
-
- キウイの塩分耐性に関する報告(CRFGフルーツファクト)
-
- マンゴーの塩害に関する事例(Tropical Fruit Forum)
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- 柑橘類の塩害感受性と根stock差(UF/IFAS Extension報告)
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- マンゴー栽培の北限とハウス栽培事情(YUIME Japan 解説)
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- 埼玉県でのマンゴーハウス栽培事例(施設園芸.com)